年を取ると入れ歯になるというイメージがありますが、若くても歯周病や歯槽膿漏が進み、自分の歯を失う人は多くいます。歯は互いに支え合って立っているため、一本抜けてしまってそのままにしておくと、支えがなくなることから、すべての歯が斜めになってしまいますので、抜けたところには何らかの対策が必要です。歯医者に行くと、たいていは入れ歯を作ることを勧められます。
健康保険診療においては、取り外し式の入れ歯が作られるのが一般的で、これがもっとも経済的負担が少ない方法でもあります。プラスチック素材で作られた歯と歯茎の形をしたものに、金属のばねが取り付けられていて、これを片側、もしくは両側の歯にかけて使う形状になっています。奥歯の場合、大きく口を開けなければ、隣の歯にかけたばねが見えることがなく、入れ歯をしていることに気づかれない可能性が高いのですが、これが口を開けたときに見える位置の歯が抜けた場合、ばねがかかっていることにより、入れ歯をしていることが一目瞭然となります。さらに、このばねは金属でできているため、隣の歯にかける際に歯茎に触れることも多く、歯茎の痛みを訴える人も珍しくありません。そのため、歯医者ではさらに快適に使える入れ歯についても、一緒に説明してくれます。さらに快適に使える入れ歯の一番の特徴は、ばねがないことです。失ってしまった歯の部分に、歯の模型物を作り、歯茎を挟み込むようにして装着します。これならよく見なければ入れ歯をしているとはわからないほど、自然な感じになりますし、ばねがないことから、金属が歯茎にこすれる痛みが生じることもありません。
また、ばねをかける歯には大きな負担がかかり続けますので、いずれはこの歯に何らかのダメージが起こる可能性が高くなります。それを回避するためにも、ばねを用いない入れ歯を検討することも一つの方法です。ただし、この入れ歯は健康保険診療の対象外ですので、作製にかかる費用はすべて自己負担になります。歯医者によって値段はまちまちですが、数万円から、高いものだと十万円を超えるケースもあり、事前に歯科医師から説明を受けた時には、最終的にいくらになるのかという料金を聞いておかないといけません。そうでないと、高価なものだけになかなか決心もつきにくくなりますし、支払いの際にドキドキしないといけないことになります。とはいえ、入れ歯としての使い心地は格段によく、メリットは非常に多いので、ぜひ検討してみたい選択肢です。